コラム
ベトナム人の性格・特徴・コミュニケーションのコツ|国民性や日本人との違いを紹介
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外国人材の受け入れが進むなか、ベトナム人を迎える企業や建設業や製造業などの現場でも増加傾向にあります。ベトナム人は、勤勉で協調性がある反面、日本人とは異なる点も多く見られます。
この記事では、ベトナム人の性格や特徴、国民性の傾向、日本人との違い、そして円滑なやり取りのためのポイントを詳しく解説していきます。
ベトナムはどのような国?
ベトナムは、東南アジアに位置する社会主義共和国で、南北に長い国土と多様な文化を持つ国です。経済成長が著しく、若い労働力を背景に製造業やIT分野などでも国際的な注目を集めています。
ベトナムがどのような国なのか、詳しくみていきましょう。
地理と都市からみるベトナムの全体像
ベトナムは、南シナ海に沿って南北に細長く伸びた国で国土の面積は約32.9万km、日本から九州を除いた広さにほぼ相当します。この地理的な特徴により、気候や文化、生活様式に地域ごとの違いがはっきりと表れています。
北部には首都ハノイが位置し、落ち着いた街並みとともに中国文化の影響を色濃く残しています。中部には、有名な世界遺産が多く、自然と歴史が豊富です。なかでも、ホイアン、ダナン、フエは中部観光のゴールデンルートと呼ばれています。南部の中心都市ホーチミンには、熱帯気候特有の陽気さと活気に満ち、経済の中心地として発展を続けています。両都市とも日本の主要空港から直行便が就航しており、約6~7時間での渡航が可能です。
都市部と地方部では、教育やインフラの整備状況にも差があり、仕事や生活に対する考え方にも違いが見られます。ハノイでは、国家機関や大学が集中しており、堅実で規律を重んじる雰囲気が根付いているのに対し、ホーチミンでは、海外企業の進出も多く、柔軟でチャレンジ精神に富んだ若者が多いです。こうした地域ごとの特色を理解しておくことで、現地でのビジネスはもちろん、日本国内の職場でベトナム出身の人と協働する際にも重要な視点となります。
民族・言語・宗教の多様性
ベトナムは、多民族国家でありながら、全人口の約86%をキン族(ベトナム人)が占めています。その他、山岳地帯を中心に53の少数民族が暮らしており、文化や言語、生活習慣は多様です。キン族以外の一部の人々は、ベトナム語以外を話していませんが、公用語はベトナム語で母音が12個、声調が6種類あるため発音が難しく、学習には一定の努力を必要とします。ただし、若い世代を中心に外国語教育が盛んで、日本語を学習している者も少なくありません。
宗教面では、人口の半数を超える人々が仏教徒です。ただし、ベトナム独自の宗教であるカオダイ教なども信仰されています。信仰の有無や宗派は人によって異なりますが、宗教行事や伝統儀礼を重んじる傾向があるため、理解と配慮が必要です。
歴史的背景と祝日の意義
ベトナムの歴史は、独立と統一の歩みを軸に語られます。なかでも重要なのが「南部解放記念日(統一記念日)」と「建国記念日」です。南部解放記念日は1975年4月30日、ベトナム戦争の終結とともに、北部と南部が統一されたことを記念する日となっており、毎年この日は国を挙げての祝賀ムードに包まれます。それに対し、建国記念日は1945年9月2日、フランスや日本の植民地下からの独立をホー・チ・ミンが宣言した日にあたり、長年の植民地支配からの解放を祝うベトナムにとって非常に象徴的な日です。
さらに、旧暦で行われる「テト(旧正月)」は、ベトナム最大の伝統行事として知られ、家族で過ごす重要な時間とされています。多くの人が帰省するため、職場にベトナム出身のスタッフがいる場合、この時期の一時帰国や連休取得に配慮しなければなりません。
ベトナムの人の性格・国民性
ベトナムの人々は、勤勉で真面目、そして温厚な性格が特徴といわれています。一見控えめながらも、責任感を持って仕事に取り組む姿勢や、家族を大切にする価値観は、日本人にも通じるものがあります。しかし、ベトナムは南北に長い国土を持ち、地域ごとに文化や気質が異なるため、同じ国の中でも人柄にはさまざまな個性が見られます。
それでは、ベトナムの人々の国民性や生活習慣について詳しくみていきましょう。
真面目で向上心が強い
ベトナムは長年、戦争や貧困と向き合ってきた歴史を持つ国です。そのため、「努力すれば人生を切り拓ける」という意識が根強く、教育や仕事に対して前向きな姿勢を持つ人が多いです。都市部では、子どもの教育に熱心な家庭が多く、親が自分の経験から「勉強こそが未来を変える」と考え、子どもに対しても努力や自立を促す文化が形成されています。このような理由から、社会に出ても「きちんと働き、成果を出すこと」に前向きな人が多い傾向です。
また、海外での生活や留学に挑戦する若者も多く、積極的に新しい環境に飛び込む行動力も目立ち、家庭内でも、年齢や性別に関係なく「学ぶ姿勢」を尊重する雰囲気が育っているのも特徴です。
恥ずかしがりで控えめな性格
ベトナムの人々は、初対面では口数が少なく、人前で目立つことを好まない人が多く、内向的と思うこともあるかもしれません。しかし、これは決して消極的というわけではなく、相手との関係性や距離感を大切にしようとする文化的背景によるものです。
信頼関係を築けると、とても親しみやすく、明るく気さくに接してくれるようになります。このような態度は、控えめで礼儀を重んじる日本人の国民性と似ている部分もあり、職場や生活の中で自然と馴染みやすいと感じる人も多いでしょう。
家族を大切する温厚な人柄
ベトナムの人々は、家族とのつながりを非常に重視する傾向があります。たとえば、親が病気になったり、家庭内の行事があったりする場合には、仕事を休んででも家族を優先するのがごく当たり前と考ベトナムは長い歴史の中で、戦争や社会体制の変化、経済成長の波にさらされながらも、たくましく生き抜いてきた国です。そんな中で育まれてきたのが、「とにかくやってみて、ダメならまた考えよう」という実践重視の考え方です。
この姿勢は、ベトナム人の働き方やコミュニケーションにもよく表れています。計画よりも行動が優先される場面も多く、「やってみないと分からない」と考える人が多いです。そのため、綿密な事前準備よりも、動きながら調整していくスタイルが自然と根付いています。また、温厚で争いごとを避ける人が多く、協調性にも優れています。穏やかな性格で周囲に気を配ることができるため、チームワークが求められる職場でもスムーズに溶け込むことができるでしょう。
柔軟でおおらか
ベトナム人の多くは、細かいことにこだわりすぎず、臨機応変に対応する柔軟さを持っています。日本では「きっちり・几帳面」が重視される場面でも、ベトナムでは「その場その場で考えればいい」「まずやってみる」という姿勢が見られることがあります。これは一種のおおらかさであり、「適当=だらしない」とは限りません。
ベトナムは長い歴史のなかで、戦争や社会体制の変化、経済成長の波にさらされながらも、たくましく生き抜いてきた国です。そんな歴史のなかで育まれてきたのが、「とにかくやってみて、ダメならまた考えよう」という実践重視の考え方といえるでしょう。この姿勢は、ベトナム人の働き方やコミュニケーションにもよく表れています。計画よりも行動が優先される場面も多く、「やってみないと分からない」と考える人が多いです。そのため、綿密な事前準備よりも、動きながら調整していくスタイルが自然となっています。
昼寝文化が根付いている
ベトナムには、昼寝の文化が根付いています。都市部でも地方でも、昼休みに30分〜1時間ほど仮眠をとることはごく一般的です。農村部では早朝から仕事をこなし、暑い日中には体を休めて夕方からまた活動するスタイルが一般的で、それが都市部の働き方にも一部引き継がれています。これは、単なる個人の習慣ではなく、社会全体で「午後のパフォーマンスを上げるための休息」として受け入れられている文化といえるでしょう。
地域による性格や文化のって性格や文化に違いがある
ベトナムは南北に長く伸びた国土を持ち、その地理的な特徴や歴史的背景から、「北部」「中部」「南部」で性格や文化、働き方、食生活に至るまで違いがあります。出身地域によって価値観やコミュニケーションの取り方が異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。 おくことが、円滑な関係づくりが可能です。
北部(ハノイ)
首都ハノイを中心とする北部は、社会主義の影響が色濃く残る地域です。人々は真面目で控えめ、慎重な傾向があり、安定志向が強いといった特徴があります。礼儀を重んじ、感情をあまり表に出さないため、初対面ではシャイに見えることもありますが、誠実で責任感の強い性格が評価されています。職場でも指示を守り、きちんと仕事をこなす人が多い地域です。
中部(ダナン)
中部は、北部と南部の中間に位置し、バランスの取れた性格を持つ人が多いのが特徴です。堅実でありながらも、向上心やチャレンジ精神が強く、近年は都市開発が進むエリアとしても注目されています。若い世代を中心に、自らの成長を重視し、積極的にスキルアップに励む姿勢が見られます。礼儀正しさと柔軟性をあわせ持ち、対人関係でも信頼されやすい地域性が特徴です。
南部(ホーチミン)
ホーチミンを中心とする南部は、商業都市として発展してきた背景があり、資本主義的な考え方が根づいています。人々は陽気でフレンドリー、商売上手でオープンな性格が多いのが特徴です。コミュニケーション能力が高く、初対面でもすぐに打ち解けられる人が多いため、サービス業などでも高く評価されています。また、柔軟な発想と行動力があり、「まずやってみよう」と前向きに挑戦する姿勢が強く見られます。
ベトナム人の仕事観と価値観
近年、日本で働く特定技能在留外国人は、ベトナムが1位となっています。その理由はさまざまあり、ベトナム人のシャイで真面目、勤勉な性格でありながら柔軟でおおらかな国民性、というのが受け入れられやすさにつながっています。日本との共通点に親しみを感じる一方で、価値観の違いに戸惑う場面も少なくありません。そのため、ベトナム人スタッフと良好な関係を築き、職場でのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、彼らの仕事に対する考え方や何を大切にしているのかを正しく理解することが不可欠です。
それでは、ベトナム人の代表的な仕事観や価値観を4つの視点から紹介していきます。
自己管理能力に優れている
ベトナム人の真面目で勤勉な性格は、与えられた業務をコツコツこなし、納期や品質に対する意識が高く、途中で投げ出すことなく最後まで責任を持って取り組む人が多いです。また、自らの作業計画を立て、進捗管理をおこなうなどの自己管理能力に優れる人が多く、マネジメント側も安心して任せられる信頼感があります。
集団協調性と上下関係を重んじる
ベトナムでは、儒教的な価値観が根付いており、年長者を敬い、家族内の役割や秩序を重視する文化があります。この価値観がそのまま社会や職場にも表れています。チームワークを最優先し、職場における和を乱さないことを重視します。会議やミーティングでは、目上の指示を尊重しつつ、自らの意見を述べる際も礼儀正しい表現を心がける人が多いでしょう。
「報告」「連絡」「相談」(報連相)の習慣はありませんが、「目上の人の意向を先読みする」動きが強いため、適宜フィードバックを受けることで円滑な連携が図れます。
柔軟な発想とおおらかな対応力
ベトナムでは、完璧な計画よりもまずは行動してみる「実践重視」のスタンスです。不測の事態が起きても臨機応変に対応し、代替案を即興で考える柔軟性を発揮します。なかでも、南部出身のスタッフに多い傾向で、問題解決へのスピード感や前向きな姿勢は、変化の激しいプロジェクトや新規事業でのチームにて大きな強みとなります。
このような発想は、厳しい状況下でも前を向いて進むという、生活のなかで培われた精神的なたくましさにつながっています。
報酬と成果のバランスを重視する
ベトナム人は「労働時間=報酬」という感覚を持つ人が多く、残業代やボーナスなどのインセンティブが明確であれば、長時間労働にも意欲的に応じます。一方で、成果や評価が曖昧な環境ではモチベーションが低下しやすいため、採用する際には、目標設定や評価基準はできるだけ具体的に示しましょう。成果に対するフィードバックをこまめにおこなうことで、継続的なパフォーマンス向上につながります。
特に、若年層を中心に「自分の努力がどこまで評価されているか」を気にする傾向が強く、公平性のある処遇が求められます。また、昇給や昇格のチャンスが見える形で提示されると長期的なキャリア形成への意欲も高まるでしょう。
ベトナム人とのコミュニケーションのコツ
ベトナム人との言葉のニュアンスや上下関係のとらえ方には、日本人との違いがあり、些細なすれ違いが誤解を生むことも少なくありません。文化や習慣が異なるなかで、スムーズに連携するためには相手の価値観を理解し、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。
ベトナム人と良好な関係を築く4つのポイントをご紹介します。
1.敬意を込めた丁寧な言葉遣いを心がける
ベトナムでは、年齢や立場を重んじる儒教的な価値観が根強く、目上の人に対して敬意を示すことが礼儀とされています。職場においても、上司や先輩への対応には自然と敬語が用いられ、目下であっても礼儀正しく接する文化があります。たとえフレンドリーな関係であっても、感情的な指摘や高圧的な態度は避け、相手を尊重する言い方を心がけることで、信頼関係が築きやすくなります。
2.間接的な伝え方を意識する
ベトナム人は「面子(メンツ)」を大切にする文化のなかで育っているため、相手に恥をかかせないことを重視します。仕事上のミスを指摘する場面でも、頭ごなしに否定するのではなく、「こうするともっと良くなると思う」といったやわらかい言い回しを使うことが効果的です。また、周囲の前で叱るのではなく、個別に丁寧に伝えるといった配慮も必要になってきます。
3.仕事以外の会話も大切にする
ベトナム人は、家族や仲間を大切にする意識が強く、プライベートな話題を通じて相手との距離を縮める傾向があります。仕事の話だけでなく、休日の過ごし方や家族の話など気軽な話題をふることで、相手も心を開きやすくなります。家庭を持つスタッフにとっては、「家族を理解してくれる職場」は安心できる環境となり、長く働くモチベーションにもつながるでしょう。
4.感謝と評価をこまめに伝える
日本では「わざわざ言わなくても伝わる」とされる場面が少なくありませんが、ベトナムでは成果や努力に対して、言葉でしっかりと評価する姿勢が大切にされています。「ありがとう」「助かったよ」といった一言が、日々の業務のなかで大きな励みになります。また、努力や結果を具体的に褒めることが、本人のやる気を引き出す大きな要素となるので、形式ばった表彰でなくても、日々の声かけ一つで職場の雰囲気はぐっと良くなるでしょう。
よくある質問
ベトナム人を採用する際に多く寄せられる質問についてまとめました。
日本語レベルはどのくらいですか?
特定技能実習生が求められる日本語レベルは、N4以上です。そのため、多くのベトナム人労働者は、来日前に日本語の初級〜中級(N4〜N3レベル)を学んでいます。
技能実習生や特定技能の候補者であれば、基礎的な会話や業務指示の理解は可能ですが、専門用語の理解や複雑な会話にはフォローが必要な場合もあるので事前に確認をしておきましょう。
どのくらいの期間滞在できますか?
技能実習生の場合は、1号、2号、3号の段階があり、それぞれに滞在期間の上限があります。技能実習1号は最長1年、技能実習2号は最長2年(1号とあわせて最大3年)、技能実習3号は最長2年の合計5年間、雇用できますが、3号への移行にはいくつかの条件を満たさねければなりません。
また、実習期間終了後、特定技能1号に移行すれば、さらに最長5年間の在留が可能です。この制度を活用することで、同じ人材とより長期的に働くことができます。将来的に「特定技能2号」への移行が認められれば、在留期間の上限がなくなり、家族帯同もできるようになります。
ベトナム人が不快に感じるのはどんなことですか?
ベトナムでは、恥をかかせないことが非常に重視されます。人前で怒られたり、大声で否定されたりすることは、本人にとって深い屈辱と感じることがあるので控えましょう。改善点や注意点は、できるだけ落ち着いた場で、個別に丁寧に伝えるのが好ましいです。
また、ベトナムは日常生活と信仰が共存しています。「宗教は関係ない」「信じるのはおかしい」などの無理解な発言は、信仰心のある人にとって非常に失礼となります。文化としての宗教を尊重する姿勢で接しましょう。
面接をする際に気を付けることは?
面接時には、難しい日本語を使わないようにしましょう。なかには、日本語レベルがN2〜N1を取得している人もいますが、初めて日本に来た場合ごく稀です。これは採用後、業務の教え方についても同じことがいえます。わかりやすく丁寧な日本語で、根気よく話しかけていきましょう。
まとめ
ベトナム人は、地域によって性格の差はあるものの、国民性として勤勉で真面目な人が多いとされ、日本の職場環境にもなじみやすい傾向があります。責任感を持って仕事に取り組み、適正な賃金が支払われるのであれば労働時間が長くても意欲的に対応してくれるでしょう。一方で、家族を大切にする価値観が根強いため、家庭の行事や病気の際には休暇を希望することもあります。
こうした背景を理解し、柔軟な雇用体制を整えることが、スムーズば受け入れにつながります。特定技能での受け入れであれば、基準として日本語での日常会話が可能な人材が求められるため、即戦力が欲しい企業様はぜひご検討ください。